第114回医師国家試験体験記⑤ 〜映像授業のススメ〜

医師国家試験

今回の記事では国試受験生3種の神器(映像授業・国試過去問・模試)のうち、映像授業について書いていきます!

映像授業

映像授業の目的はズバリ国試合格に必要な知識を身につけることです!

大学の座学より映像授業の方が効率がよい

大学には臨床・研究・教育の3つの役割があるとはよく言われますが、大学で講義している先生方は日々の臨床診療に忙しく、さらに研究もされていて、正直教育にはあまり力を入れられない先生がほとんどだと感じます。
それに対して予備校の先生は教育のみが仕事であり、国試合格に必要な知識を整理しそれをわかりやすく教えることに全精力を傾けています。

極論、僕ら医学生も大学に対しては国試受験資格を手に入れるためにお金を払っており、“知識“を得ることは+αだと感じている人が多いかと思います。大学で教えられる“知識“は臨床・研究の最前線で活躍する先生たちが現場で実際に使っている知識です。ほとんどの大学の先生は国試の過去問分析など全くしておらず、さらに僕ら初学者に対してどのように教えたらわかりやすいかなど考えていません。

一方、予備校に対しては僕らも“国試に合格に必要な知識“を手に入れるためにお金を払うので、予備校側もそのための教材を用意してきます。さらに予備校の先生は国試の過去問をしっかり分析し、国試合格に必要な知識を僕らにわかりやすいように教えるプロです。

こうなってしまうと予備校の映像授業の方が“国試に受かるための知識を学ぶ“ことに関して役に立つのはある意味当たり前のことです。

映像授業の特徴

映像授業では国試の過去問を研究し、国試で点を取るために大切なところを重点的に、あまり出題されない分野は軽く、濃淡をつけて教えてくれます。また全範囲を1〜2人の先生が授業されるため医学全体を俯瞰し、関連分野をまとめて扱ってくれることもあります。

その他、国試に合格するために(正確性を少し犠牲にして)細かいところを省いたりして国試に必要な範囲をわかりやすく噛み砕いて教えてくれるという利点もあります。
研修医になり実際の臨床に出てみると不十分な知識な知識であることを痛感しますが、国試に合格するという点ではとても役に立ちます。また土台の知識をつけておいて、研修医になってから正確で細かい知識を上積みしていくという意味でも国試予備校を利用してまず大枠を勉強しておくのはとても効率がいいと思います。

大学の授業の特徴

大学の先生は国試の過去問はあまり研究していない人がほとんどです。(全く見ていない人もたくさんいるとおもいます。)また国試の範囲を大幅に超えて、先生がされている最先端の研究や臨床の話を聞いても、僕ら医学の初学者にとっては正直難しすぎて全くわからない、、、すやぁ、、、となりがちです。

また各先生がご自身の専門分野について講義してくださります。ご専門なので細かく詳しく正確に教えてくださいますが、その一方でわかりやすさはどうしても犠牲になりがちです。先生の人数も多く、医学全範囲を俯瞰した講義というものもどうしても難しくなってしまいます。
  
逆に国試を控えた僕ら医学生にとってどのような大学授業の価値が高いのでしょうか??

僕は大学の授業では医学の知識よりも先生方ご自身の体験・経験を学ぶことに意義があると考えます。
臨床・研究の最前線で活躍されている人の話を聞けるのはとても貴重な機会ですし、印象深いエピソードを聞くことで大事な知識をしっかり覚えることができたりもします。何より様々な医師の話を聞いておくことは国試合格・初期研修終了後の進路を考える際にとても大切な材料になります。

※もちろん大学の先生でもきちんと国試を研究して授業を組んでくださっていたり、教えるのがめちゃくちゃ上手な先生もいらっしゃるので、もし素晴らしい先生に出会ったら、大いに感謝して様々なことを学びましょう!

教材の使い方

効率的に勉強するために、全ての情報を1カ所にまとめることをおすすめします。
わからなかったらそこに戻る!という場所を作ることが目的です。
 ・自分が勉強した内容は全部ある
 ・再度調べ直す手間がない
 ・何回も見ることで覚える

勉強していて疑問に感じたり覚えられないと思って教材を見直すと以前にも同じところを開いていたということが多いです。

教材を1カ所にしておけば、以前調べた疑問点は解消されており、どうしても覚えられない箇所はいいゴロが書いてあることでしょう。どれも昔の自分が書いておいてくれたことですが、教材が散らばってしまうとどこに書いてあるか分からなくなってしまい、様々な教材を開いて探したり、最悪の場合調べ直すということになってしまいます。

また教材を1カ所にまとめておけば『ぁあのページの右上に書いてあったな!』となり、効果的に覚えることができます。

映像授業のテキストにまとめる

情報を1ヶ所にまとめておくことは有用ですが、国試において自分で1からまとめノートを作ろうとするのは禁忌です。
理由はただ1つ。必要な知識が多すぎて作り終わらないからです。
また、覚えた知識で点を取る国試において、まとめノートを作ることに時間を割きすぎると負けます。覚えることに優先的に時間を割くべきです。

国試予備校が作ってくれた、国試に必要な情報が効率よくまとまっている映像授業のテキストをベースに適宜知識を足して行くことをおすすめします!

ipadのすすめ

自分オリジナルの教材を完成させていくにあたってはコピペができる電子媒体が圧倒的におすすめです!
情報を書き足していくと『この情報はこっちの場所に移したい』『ここちょっと書き換えたい』といったことがあります。
そのときに電子媒体であればコピペ等を使って気軽に書き換えることができます。
もし手書きだったらと思うと、、書き換えるのが億劫で情報を書き足すごとにぐちゃぐちゃになっていったり、書き換えることに膨大な時間がかかったりしてしまいます。

また、ペンをつかって文字を書くよりも、キーボードをつかって文字を打ったほうが確実に速いです。
キーボードならば予測変換もあり、カーソル移動のショートカットなどを使いこなすことができれば、さらに素早く文字入力をすることができます。

研修医になってからの電子カルテ記載にもとても役立つのでいまからキーボードでの入力に慣れておくことをおすすめします!

もちろんApple pencil をつかって手書きで書くこともでき、しかも手書きした文字をコピペしたりすることもできます!
さらにどんなにテキストが増えても、iPadひとつあれば全ての情報を持ち運べて、しかもiPhoneからも同じ情報にアクセスできるので、隙間時間で暗記したりもできます!!

詳しく解説しているサイトはたくさんあるのでググってみてください!

映像授業の受け方

国試勉強の大半を占めるといっても過言ではない映像授業ですが、どのように受けるのが効率良いのでしょうか??

1周目

まずは全範囲をさらっと見ましょう
勉強法でも書きましたが、国試の範囲は膨大です。いちいち一時停止して講師の話してることまで全部メモしてたら、国試までに全体の半分も受講できません。

まずは薄く全範囲を受講することを目標にしましょう。

・1.5〜2倍速で再生。一時停止はしない!
・メモはできる範囲で。(Medu4のテキストの穴埋めは完成させる!)
・問題演習はやらない。動画も飛ばす。
・配点の低いマイナーは総論のみの受講も検討

2周目

受講は最大2回と考えましょう。
1回目の受講の目的はさらっと全範囲でしたが、2回目の目的はその講義内の知識をすべて抜き出すことです。
講師の板書・口頭での説明等々、その講義から学べる情報はすべてテキストにまとめましょう。

映像授業は必要な情報をピンポイントで探し出すのに向いていない媒体です。検索機能もなく、『この講義で言ってた気がする、、、』という記憶を頼りに長い講義を再度受講しなければなりません。時間の無駄です!!!その時間で飲みに行ったほうが10000倍有益。

また国試本番で使える知識を身につけるためにはInputよりもOutputを繰り返し、知識を定着させることが最も重要であり、そこに時間を割くべきです。

本当に必要な『Output』に集中するためには『やらないこと』を決めることが大切です。

映像授業を2回受講し、新しく学ぶべきことは何もない!という状況になっていれば
その後わからないことが出てきても国試合格には優先度の低い知識であるとして切り捨てることができます。

巻き戻す時間は無駄

倍速再生して、聞き取れなかったり理解できなかったりして巻き戻すことが多い時は、速度を落としましょう。
何回も巻き戻している時間の方が無駄です。
僕はMedu 4の穂澄先生は話すのが早くて、1.5倍速じゃないと理解できなかったです笑

2周目のメモを取る時は、一時停止等を使いましょう。さすがに無理です。

問題解説は飛ばす!

映像授業内に国試過去問などの解説が入っていることがあるかと思います。
見る必要はありません。すべて飛ばしましょう。

映像授業に求めることは、知識のBaseを作ることです。国試の範囲は膨大です。不要なものはできるだけ削ぎ落とし、最速で知識のBaseを作り、その後で国試過去問で問題演習をしましょう。

また、本編では講義されず、問題解説部分でしか講義されない内容もあると思いますが、
当面の目標は『最速で知識のBaseを作る』です。割り切ってその部分は捨てましょう。

全範囲2周受講し終えたあとで、もし必要があれば、問題解説部分のみを見ればよいのです。

調べない!

映像授業を受講していると疑問に思うことがたくさん出てくると思います。
『ギラン・バレーってなんで髄液の蛋白細胞解離起こすの????』『PSVTとAVRT違いがいまいちわからん、、』等々

テキストにその疑問を書き込んでおきましょう。決してその時点でグーグル先生に聞いてはいけません。

疑問に感じるのは、知識が増えてきている証拠で、さらに深く理解する大きなチャンスですが、
ここで調べ始めてしまうと国試合格という意味ではとても効率の悪い勉強になってしまいます。

国試合格に必要な最低限の知識は映像授業の講義に全て含まれています。
ある分野で映像授業+αの勉強をすることによって、他の分野の勉強時間が減り、国試合格に最低限必要な映像授業の受講すら終わらなくなってしまうかもしれません。

さらに『調べている時間』は無駄です。その時間を節約するために必要な知識がまとまっている国試予備校の教材を使い、Input・Outputのみに時間を集中させようとしているのに本末転倒です。

まずは全範囲の映像授業受講など、国試合格に最低限必要なことを終わらせてから、余力があれば思う存分自分の好奇心を満たしに行きましょう。

書き込んでおいた疑問もあとから見返すと既に解決していたり、国試の過去問解説にその答えが書いてあったりすることがよくあります。
まずは疑問を書き込んでおいて、次に進みましょう。

マイナー科

範囲が広く量が多い割に、配点が低くコスパが悪いです。
1周目では総論のみ受講して各論は受講しないという戦略をおすすめします。まずは爆速で一周!

例 
 マイナー科の総論 皮膚科の〜試験など
 マイナー科各論 各疾患について(病態・治療等々)
  
また先天性心疾患を代表とする高難易度・低配点の分野は優先順位を下げましょう。0点でも余裕で合格できます。
1周目では総論のみ見れば十分でしょう。

その一方で優先順位低いからと勉強せず国試本番を迎えるのもメンタルに悪いので余裕があれば一通り見ておいてもいいと思います。

全範囲受講後の方針

全範囲受講したら理解度を確認するために10年程前の回数別を1〜2年分解き、2回目の受講の優先度を考えましょう。
※この段階では圧倒的にInput(映像授業受講)不足であり、解けなくて当たり前です。2周目の方針を決めることだけを目的とし、Output(回数別解答・復習)に時間を割かないようにしましょう。

理解不足により正答率が低く、なおかつ配点の高い分野から2回目を受講していきます。
暗記不足による誤答の場合は2回目の受講の優先度は下がりますが、1回さらっと見ただけの状態では、理解不足→上手に覚えられないというパターンが圧倒的に多いと思われるので基本的には失点が多い分野の優先順位を高くし、受講していく方針としましょう。

さいごに

映像授業の特徴と効率のいい受講方法についてまとめてみました。
安くはない映像授業、医学生の皆様が効果的に受講する一助になればうれしいです。

114回医師国試体験記の他の記事は第114回医師国試体験記①からご覧ください。

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